【8月1日 AFP】車のクラクション、レストランの喧騒、工事現場のドリル音──ニューヨーク(New York)は世界で最も騒がしい街の一つだ。そんな「眠らない街」では現在、人工知能(AI)を使った騒音対策プロジェクトが進められている。

 ニューヨーク大学(New York University)の研究者らが考案したこのユニークな試みは、マシンラーニング(機械学習)技術とセンサーを利用して「音のライブラリー」を作るというもの。具体的には、センサーを駆使して市内の騒音を記録し、AIにそれらの音を自動的に認識させる。最終的には、市当局に騒音緩和の方法を教えることを目指す。

 このプロジェクトは「サウンズ・オブ・NYC(Sounds of NYC)」と呼ばれ、5年にわたって行われる予定。予算は460万ドル(約5億円)だ。

 19年前にロサンゼルス(Los Angeles)から越してきたという映画監督のグレゴリー・オール(Gregory Orr)さんは、ニューヨークでの暮らしについて「サッカースタジアムの真ん中に住んでいるようなもの。この街では、騒音に負けないようにリスも大声で鳴かないといけない」と冗談まじりに語る。

 プロジェクトを率いるのは、ニューヨーク大学のフアン・ベロ(Juan Bello)准教授(音楽テクノロジー)。同氏によると、2003年に非緊急サービスの電話ホットラインが開設されて以来、最も多い苦情が騒音なのだという。

 最初のセンサーボックスはグリニッジ・ビレッジ(Greenwich Village)にあるニューヨーク大学建物に設置された。現在は、マンハッタン(Manhattan)やブルックリン(Brooklyn)の各地に設置され、年内には計100か所に到達する予定だという。

 ベロ氏によると、騒音をめぐっては、心臓疾患や聴力の衰え、過度の緊張など「長期的にも短期的にも健康に大きく影響するとの結果が多くの研究で得られている」という。経済的な影響も相当だ。他方で、重度の騒音にさらされている子どもには、成績面での悪影響もあるとされている。