仏警察、移民に唐辛子スプレーを日常的に使用 HRWが非難
このニュースをシェア
【7月26日 AFP】国際人権団体ヒューマン・ライツ・ウオッチ(HRW)は26日、フランスの警察当局が同国北部の港湾都市カレー(Calais)で移民に対して日常的に唐辛子スプレーを使用していると非難する報告書を発表した。当局は、こうした事実はないと反論している。
「地獄を生きているような(Like Living in Hell)」と題されたこの報告書を執筆したマイケル・ガルシア・ボシュネク(Michael Garcia Bochenek)氏がAFPに語ったところによると、HRWは今年6月末から7月初めまでの間に移民61人に面談を実施。そのうち55人が、それに先立つ2週間以内に唐辛子スプレーをかけられたことがあると回答し、そうした行為を毎日受けたと話した移民も一部いたという。
「この55人がスプレーをかけられたのは就寝中だった」とボシュネク氏は述べ、面談はさまざまな場所で多様な国籍の人々を対象に行ったが、共通するのはそれぞれの話が「深刻な問題を示している」ことだと指摘した。
HRWフランス支部のベネディクト・ジャンヌロー(Benedicte Jeannerod)代表は、「こうした行為が日常的になり看過されると、深刻な虐待になる」とAFPに述べた。
フランス北部の沿岸部には10年以上前から英国に渡ろうとする移民・難民が押し寄せている。カレー近郊にあった「ジャングル(Jungle)」の通称で知られた移民キャンプには大勢が暮らしていたが、昨年10月に撤去された。だがHRWによると、多数の移民・難民が今もカレーおよびその周辺で路上生活などを続けているという。
東アフリカのオロモ(Oromo)民族出身の少年(16)は、「警察に毎日追い立てられている。警察はスプレーを使う。蹴ったりもする。それがここでの僕らの生活だ」と述べた。
一方、カレーが位置するフランス北部パドカレー(Pas-de-Calais)県の知事は、同報告書について、「証拠となる根拠はない」とし、「虚偽の主張と中傷を全面的に否定」すると反論している。(c)AFP