【7月26日 AFP】アメリカンフットボールの新シーズン開幕が近づく中、米ナショナル・フットボール・リーグ(NFL)選手の死後に提供された脳の99%に変性疾患の徴候がみられたとの研究結果が発表された。この疾患は、頭部に度重なる衝撃が加えられることが原因と考えられている。

 米ボストン大学(Boston University)の研究チームが25日の米国医師会雑誌(JAMA)に発表した論文によると、研究のために死後に脳を提供した元NFL選手111人のうち、110人の脳に慢性外傷性脳症(CTE)の顕著な徴候が認められたという。

 CTEは、記憶障害、めまい、うつ病、認知症などの症状を引き起こす。こうした症状は、選手が引退してから何年も経った後に現れる可能性がある。

 NFLに対してはここ数年、脳振とうや頭部外傷の問題に関連した監視の目がますます厳しくなっており、2015年には神経疾患に見舞われた元選手数千人による訴訟でNFL側と10億ドル(約1120億円)の和解が成立している。

 2016年にはNFLの幹部が、アメフト競技とCTEとの間の明確な関連性を初めて認めた。

 NFLは近年、脳振とう研究に資金を提供するとともに、試合によって選手の体に及ぶ可能性のある外傷的影響を最小限に抑えるために規制の強化を図っている。(c)AFP