【7月25日 AFP】スウェーデンで政府のシステムから大規模な情報流出があったことが明らかになった。交通当局のIT(情報技術)システム管理を最終的に請け負っていた東欧の企業から情報が漏れたとみられ、軍の機密や数百万人の個人情報が流出した可能性がある。政府は24日、調査に乗り出したことを明らかにした。

 スウェーデン政府が管理する情報の流出としては過去数十年で最大規模。国民の運転免許に関する全データベースが丸ごと、チェコとルーマニアのIT技術者らがアクセスできる状態になっていた。情報機関員らの身元の特定もつながった恐れもあると報じられている。

 スウェーデン軍は22日の声明で、流出したデータには人員や車両、国防・危機管理計画に関する情報が含まれていた可能性があると言及している。

 ステファン・ロベーン(Stefan Lofven)首相は24日、首都ストックホルム(Stockholm)で開かれた記者会見で、今回の件は「事故だ」との認識を示した上で調査を開始したと発表。「違法行為によってスウェーデンとスウェーデン国民を危害にさらした」とも語った。

 記者から厳しく追及された首相は、1月に部下から情報流出の話を聞いたと明かした。

 流出は、2015年に米IBMがスウェーデンの交通当局からITシステム管理を受注したのが発端。同社が実際の業務をチェコとルーマニアの下請け企業に外注したことで、外国のIT技術者らが機密情報を閲覧できる状態になった。

 交通当局を管轄するアンナ・ヨハンソン(Anna Johansson)社会基盤相は23日、スウェーデン通信(TT)の取材で、前の副大臣は情報流出を認識していたにもかかわらず自分に伝えていなかったと明かし、野党から激しい批判の声が上がった。

 野党側は議会で政府の信任投票を行う構えも示しており、少数与党の社会民主労働党率いる連立政権を揺るがす恐れも出ている。(c)AFP