難病の英乳児、両親が治療継続を断念 世界が注目の法廷闘争が終了
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【7月25日 AFP】遺伝性の難病で末期症状にある生後11か月の英国人男児チャーリー・ガード(Charlie Gard)ちゃんの両親が24日、米国での実験的な治療を認めさせるために続けていた法廷闘争に終止符を打った。両親の訴えは世界中の注目を集めていた。
チャーリーちゃんの両親であるコニー・イエーツ(Connie Yates)さんとクリス・ガード(Chris Gard)さんの弁護士は、ロンドン(London)高等法院のニコラス・フランシス(Nicholas Francis)判事に対し、2人の決断は最新の脳スキャン結果を受けたものだと伝え、「残された時間がなくなった」と述べた。
裁判所前で会見したクリスさんは「治療を追い求めることはもうチャーリーにとって最善ではなくなったと判断し、逝かせてやることにした」と説明。「息子には本当に生きる望みがあった。私たちは心から打ちひしがれている」と述べた。
クリスさんはまた、「これからは息子との最後の貴重な時間を過ごす。1歳の誕生日まで2週間もないが、残念ながらその日を迎えることはないだろう」と語った。
フランシス判事は、両親がチャーリーちゃんを米国に連れて行き、ヒトを対象に行われた実績がない治療を受けさせることを認めるだけの新たな証拠があるか、判断を示すことになっていた。
チャーリーちゃんは、心臓などの器官の筋肉が弱っていく、まれなミトコンドリア病を発症している。治療を担当するロンドンのグレート・オーモンド・ストリート病院(Great Ormond Street Hospital)の医師らは、チャーリーちゃんは「深刻かつ回復不能」な脳の損傷を負い「苦しんでいる恐れがある」として、延命治療の中止を認めるよう裁判所に求めていた。
一方の両親はチャーリーちゃんの転院許可を求め長らく法廷で闘ってきたが、英国最高裁判所と仏ストラスブール(Strasbourg)の欧州人権裁判所(ECHR)のいずれでも敗訴していた。
裁判所の決定には、ドナルド・トランプ(Donald Trump)米大統領とローマ・カトリック教会のフランシスコ(Francis)法王がそれぞれ異議を唱え、チャーリーちゃんへの支援を申し出た。病院側はこれを受け、新たな証拠に対する最終的な評価を下すよう裁判所に求めていた。(c)AFP/Clement BOUTIN