シリアの東グータで停戦、首都近郊に残る反政府勢力の拠点の一つ
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【7月23日 AFP】シリア政府は22日、同国首都ダマスカス(Damascus)近郊に残る反政府勢力の拠点の一つ、東グータ(Eastern Ghouta)での停戦を宣言した。これに先立ち、シリア政府を支援するロシア政府と反体制派が、政府側が包囲していた東グータに安全地帯を設置することで合意していた。
シリアでは過去6年間に及ぶ内戦で、これまで多くの町や村が戦闘により破壊されており、ダマスカス近郊の東グータは、同国のバッシャール・アサド(Bashar al-Assad)政権と戦う反体制派が掌握する最後の砦のうちの一つ。シリア政府への抗議行動として2011年3月に始まった同国の内戦ではこれまでに33万人以上が死亡している。
東グータは今年5月、シリア政府側を支援するイランとロシア、そして反体制派を支援するトルコが「緊張緩和地帯(ディエスカレーション・ゾーン)」を設置する対象として指定された4地域のうちの1つ。しかし緊張緩和地帯の治安維持について意見が一致していないことから合意はまだ完全に履行されておらず、東グータは停戦合意に達した2つ目の地域となった。
国営シリア・アラブ通信(SANA)は政府軍の声明として「ダマスカス県東グータの一部地域で22日正午(日本時間同日午後6時)より停戦が実施される」と報道した。また声明では「(停戦)違反があった場合は軍が適切に報復する」と警告したが、東グータのどの地域が含まれるかについては言及しなかった。
この数時間前、ロシアはエジプト首都カイロ(Cairo)で行われたシリアの「穏健な」反体制派と和平協議を行い、東グータの緊張緩和地帯をどのように機能させるかについて話し合ったと明らかにしていた。
ロシアは自国と反体制派が「緊張緩和地帯の境界線および兵力の配置場所と停戦監視部隊について」合意に署名したと述べ、また「人道支援物資の運搬や住民の自由な移動のためのルート」についても合意したと付け加えた。ロシアは「数日中にも」同地域で人道支援物資の運搬と負傷者の避難を開始するとしている。
しかし、カイロでロシアと停戦合意に署名したと主張する反体制派組織はおらず、反体制派の中でも影響力の強い組織の1つはロシアとの和平協議に関与していないと主張している。
5月に緊張緩和地帯に指定された4地域のうち、停戦合意に達していない残りの2つは反体制派が掌握するイドリブ(Idlib)県と中部ホムス(Homs)県北部地域。この4地域には合計で250万人以上の住民が暮らしているとみられている。(c)AFP