【7月21日 AFP】スマートフォンのアプリを通じてタクシーを予約できるサービスが世界の都市交通事情に変革をもたらす中、道路渋滞のひどさで悪名高いブラジル・サンパウロ(Sao Paulo)では、携帯アプリでヘリコプターを手配できる空のタクシー・サービスが話題を呼んでいる。

 南米最大の都市サンパウロは市内だけで人口1200万人を抱え、さらに数百万人が郊外に暮らす。市に登録された車の台数は590万台に上り、大渋滞は日常茶飯事。ラッシュ時には渋滞が全長576キロにも及ぶことさえある。

 そんな中、欧州航空機大手エアバス(Airbus)が今年4月に立ち上げた新しいベンチャー事業「Voom(ブーム)」は、タクシー配車アプリ「ウーバー(Uber)」を手本に、顧客第一を掲げた低価格のサービスを提供している。

 料金は飛行距離と乗客の重さで決まる。利用者がアプリに自分の体重と手荷物の重量を入力すると、即座に料金が分かるシステムだ。

 空港まで約30キロの移動に「ブーム」を利用した米国在住のブラジル人実業家グスタボ・ボイド(Gustavo Boyde)さんは、サンパウロではヘリコプターが唯一の渋滞回避策だと語った。要した時間は9分で、料金は150ドル(約1万7000円)。「ブーム」のサービス開始前は、同じ距離をヘリで移動しようとすれば10倍の料金がかかり、2日前に予約が必要だった。

「目標は、ヘリコプターをもっと多くの人々が利用できる交通手段にして、代替交通の一つと認識してもらうこと」。「ブーム」事業を手掛けるエアバス傘下「A3」部門のプロジェクト責任者、ウマ・スブラマニアン(Uma Subramanian)氏は、このように語っている。(c)AFP/Paula RAMON