巨匠ダリの遺骨掘り起こし検体採取、「一人娘」とのDNA鑑定へ
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【7月21日 AFP】シュルレアリスムの巨匠サルバドール・ダリ(Salvador Dali)の遺骨の掘り起こし作業が20日、スペイン北東部フィゲラス(Figueras)のダリ劇場美術館(Dali Theatre-Museum)で行われた。ダリの一人娘だと主張している女性の申し立てを受け、スペインの裁判所が先月、DNA鑑定のため約30年前に埋葬された遺骨の掘り起こしを命じていた。
美術館内にあるダリの墓の上から1トン超の厚板を外して遺骨を掘り起こす作業は非公開で行われ、カタルーニャ(Catalonia)自治州の裁判所は午後11時50分(日本時間21日午前6時50分)、「サルバドール・ダリの遺骨から検体を採取した」との声明を発表した。
骨片や歯片などの検体は首都マドリード(Madrid)の専門機関に送られ、DNA鑑定にかけられる。
ダリの一人娘だと主張しているのは、カタルーニャ州で霊媒師として生計を立ててきたピラル・アベル(Pilar Abel)さん(61)。ダリが長く創作活動の拠点としていた同州カダケス(Cadaques)で母親と関係を持ち、自分が生まれたと主張している。
アベルさんの弁護士は、もしアベルさんがダリの唯一の実子と認められれば、20世紀を代表する巨匠画家の莫大な遺産・財産の25%を相続する権利が生じる可能性があると述べている。ダリの遺産を管理するガラ・サルバドール・ダリ財団(Gala-Salvador Dali Foundation)によると、遺産総額は2016年末時点で約4億ユーロ(約520億円)相当に上る。
アベルさんは先月、AFPとのインタビューで、7~8歳のころに初めて祖母から父親がダリだと知らされ、母親も後にそれを事実と認めたと語った。ダリの故郷フィゲラス出身のアベルさんは、生前のダリを街中でよく見かけたが「言葉を交わすことはなく、お互いにただ目をやるだけだった。でも、いちべつは千の言葉に値する」と話している。(c)AFP/Benjamin Bouly Rames and Mario Magaro