【7月24日 AFP】2014年に消息を絶ったマレーシア航空(Malaysia Airlines)MH370便の徹底的な捜索活動の結果、火山や深い谷、そびえる海嶺など、これまで未知とされてきた海底の世界の詳細が明らかになった。

 インド洋(Indian Ocean)南部の海域では、前例のない費用を投じて捜索活動が繰り広げられたものの、機体の行方はいまだつかめていない。だが、調査を進める過程では、海底の詳細な写真など膨大な量のデータを収集する必要があった。研究者らはこの新しい地図が、科学界に海洋に関するいっそう深い洞察を与えてくれると期待している。

 オーストラリア地球科学機構(Geoscience Australia)地球科学・環境部門のトップを務めるスチュアート・ミンチン(Stuart Minchin)氏は19日、「MH370便の捜索活動で用いられたものと同種の技術を使って測量された海域は、世界全体で推定10~15%に過ぎない」と述べた。

 さらにミンチン氏は「(MH370便の捜索活動により)このインド洋の遠洋海域が、地球の深海の中で最も徹底的に地図化された海域になった」「このデータは、捜索エリアが遠隔地であるという点、測量されたエリアが非常に広大だという点で、際立ったものとなった」と語った。同氏は、この地図は海洋学や生息地のモデリングなど将来の学術調査の際にも役立つとしている。

 乗客乗員239人を乗せたMH370便が行方不明になってから3年近くが経過した今年1月、オーストラリア、マレーシア、中国は海中における捜索活動を打ち切った。

 英イングランド(England)地方よりもわずかに狭い12万平方キロの範囲にわたって行われた捜索活動で、難破船2隻が発見されたものの、MH370便の墜落の痕跡は全く見つからず、航空史上最大級の謎はさらに深まるばかりだ。

 しかし、今回のデータによって幅6キロ、長さ15キロ、高さ1500メートルの海嶺(かいれい)や、幅5キロ、深さ1200メートルの海底谷などの存在が明らかになった。2回目となるデータ一式の公開は2018年半ばに予定されている。(c)AFP