【7月20日 AFP】イラク第2の都市モスル(Mosul)の再建を始めるときがきた。市内の一部地域は、立てこもっていたイスラム過激派組織「イスラム国(IS)」の戦闘員に対する攻撃で、完全にがれきと化してしまった。

 しかし、再建を開始する前に、戦闘により生じた大きな混乱をまずは片付けなければならない。

 モスル西部の損傷した自宅前に立ち、作業員がバルコニーからがれきを取り除く様子を見守っていた元役人のマナフ・ユニス(Manaf Yunes)さん(57)は、「給料を3年間支払ってもらえなかったので一文無しだ。改修するのに借金した」とAFPの取材に語った。

 イラク政府は10日、ISからのモスル奪還作戦での勝利を宣言。約9か月にわたる戦闘では想像を絶する規模で破壊が行われた。

 イラクの国連開発計画(UNDP)のリズ・グランデ(Lise Grande)氏は、暫定的評価によると、水道、電気、学校や医療機関などの基本サービスをモスル全体に復旧させるためには、10億ドル(約1100億円)以上が必要になると話した。最も大きな打撃を受けたのは西部地域で、地元自治体によると、インフラおよび公共サービスの90%以上、民間家屋の70%が破壊されたという。

 グランデ氏によると、モスル西部の最も大きな被害が出た地域では、主要な電力と上下水網の復旧、病院、学校、住宅を含む中心的公共施設の修復を支援するために推定4億7000万ドル(約530億円)が必要という。これは、暫定的評価に基づく数字だ。

 旧市街でも、イスラム過激派による非常に激しい戦闘が最後まで続いた。国連は直近の報告で「住宅のほぼ3分の1は激しく損傷、あるいは全壊している」と述べている。

 イラクの国連ハビタット(UN Human Settlements ProgrammeUN-Habitat)を率いるエルファン・アリ(Erfan Ali)氏は、AFPに対し、こうした破壊にもかかわらず、医療部門はすでに回復しつつあるとしながら、「現在、病院のほぼ半分は運営しており、多くは修復済み」と述べた。