「クリンゴンじゃない!」 マケドニア、暫定略称を国名にする案を一蹴
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【7月19日 AFP】マケドニアの国名についてギリシャがギリシャ古来の名だなどとして反対している問題で、マケドニアは18日、国際的な暫定名称の略称「FYROM」を国名として解決する提案を拒否した。米人気SFドラマ「スター・トレック(Star Trek)」に登場する「クリンゴン(Klingon)」のように奇異な名称だと反発した。
バルカン(Balkan)半島に位置するマケドニアを、隣国ギリシャや欧州連合(EU)、国連(UN)はいずれも「マケドニア旧ユーゴスラビア共和国」と呼んでいる。FYROMはその頭文字をとったもの。ギリシャは、マケドニアという名称はギリシャ北部一帯に対してしか使えないと主張している。
ベルギーの首都ブリュッセル(Brussels)で開かれたEU側との会合後の記者会見で、マケドニアのニコラ・ディミトロフ(Nikola Dimitrov)外相は「みなさんがFYROMと言うなら、それはわが国をTVドラマシリーズ『スター・トレック』の『クリンゴン』と呼ぶようなものだ」と述べた。
クリンゴンはスター・トレックに出てくる凸凹の頭をした人類に似た種族で、独自の帝国を築いている。
ディミトロフ外相は一方で、「われわれは両国(マケドニアとギリシャ)が真っ直ぐ前に進める道を探さねばならない。それは可能だと思う」と述べ、別の妥協案があり得るとの考えも示唆した。
先ごろ就任したマケドニアのゾラン・ザエフ(Zoran Zaev)首相は先月、国名論争に終止符を打つべく、同国が暫定的な国名で北大西洋条約機構(NATO)とEUに加盟する案に言及していた。
国名論争はユーゴスラビアの崩壊を受けて、マケドニアが1990年代に独立を果たしたことで表面化。ギリシャは、アレクサンダー大王(Alexander the Great)の古代マケドニア王国の中心は現ギリシャ北部のマケドニア地域にあったとして、「マケドニア」という言葉を使用する歴史的な権利が自国にあると主張している。
マケドニアはNATOへの加盟を目指しているが、ギリシャは2008年以来、拒否権を行使して妨害している。(c)AFP