【7月17日 AFP】2016年に世界各地で殺害された環境保護関連の活動家や抗議行動の参加者は少なくとも200人に上り、その4割が先住民族出身者だとする報告を、英NGO「グローバル・ウィットネス(Global Witness)」が13日、発表した。

 2002年に同NGOが記録を開始して以来、最悪の数字で、2年前の2倍となっている。また記録に残されていない事件もあり、実際に殺害された人数はさらに多いとみられている。

 命を奪うような環境保護活動家らへの攻撃は16年前よりもいっそう広がっており、昨年は24か国で起きている。殺害が確認された人々のうち、ブラジル、コロンビア、フィリピンが合わせて半数以上を占め、その後にインド、ホンジュラス、ニカラグア、コンゴ民主共和国、バングラデシュが続く。またそうした殺人事件の60%が中南米で発生している。

 グローバル・ウィットネスの活動家ベン・レザー(Ben Leather)氏は「地球を守る闘いは急速に激しさを増しており、人の命がその犠牲となり得る状況だ。より多くの国でより多くの人々が、土地を盗む者や環境を破壊する者らに対抗する選択肢しか残されなくなっている」と述べた。

 一方、殺害された人々のうちの100人は抗議運動などで関わっていた産業分野が特定できており、鉱山・石油事業が全体の3分の1、伐採と農業関連産業が5分の1ずつとなっている。

 また水力発電ダムも緊張を生じさせやすく、昨年3月2日にはホンジュラスで、活動家のベルタ・カサレス(Berta Caceres)さんの自宅に武装した男らが押し入り、カサレスさんを射殺する事件が起きた。4人の子の母親だったカサレスさんは、地元での水力発電ダム建設に反対していた。この事件に関わりがあったとして逮捕された8人の中には、ダムの建設会社の社員がいた。

 環境保護関連で活動家らが殺害されている国は熱帯に多い。そうした国々では鉱山、伐採、大規模な農業などがほとんど規制されておらず、水の汚染や土地の強奪、先住民の立ち退きなどが起きやすい。(c)AFP/Marlowe HOOD