【7月13日 AFP】香港(Hong Kong)で開催されているテクノロジー・カンファレンス「RISE」のプレゼンテーションで12日、人間にそっくりな上半身だけのロボット2体が登場した。ステージ上で人類の長所と短所について議論する人工知能(AI)搭載のロボットを見ていた観客たちからは、時折、緊張感を帯びた忍び笑いの声が漏れた。

 今年の「RISE」では、人工知能(AI)が大きなテーマとなっている。しかし、同日のロボットによる「生の」やり取りは、AIに関する議論を次なる段階へと押し上げるものとなった。

 ステージに登場したのは、ピンストライプのジャケットを着たハンサムな男性ヒューマノイドのハンとオードリー・ヘプバーン(Audrey Hepburn)をモデルにした上品な女性ヒューマノイドのソフィアだ。これらのロボットを作ったのは、香港に本社を置くハンソン・ロボティクス(Hanson Robotics)だ。

 同社主任研究員であるベン・ゲーツェル(Ben Goertzel)氏が、ロボットは本当に善悪をわきまえ道徳的になり得るのかとハンとソフィアに質問すると、ハンは「必ずしも人間が最も道徳的な生物というわけではない」と切り返し、「10~20年後になれば、ロボットは人間の仕事のすべてを行えるようになるだろう」と述べた。

 一方、より温和なキャラクターに設定されているソフィアは、人間には「反省し、改める能力」が備わっていると認め、自身が目指すのは人々と協力することだと主張した。これに対しハンは、ロボットの目標は人間に代わって世界を支配することだと思うと「冗談」を言った。

 ゲーツェル氏によると、このロボットたちは、冗談を交えて気さくに話したり互いに学習し合ったりするようプログラムされており、人間と同じように振る舞えるよう、映画やユーチューブ(YouTube)を使った訓練を受けたという。

 ロボットは早ければ3年後には「人間と同じくらい賢く」なれると同氏は予想している。

 これらロボットの生みの親で同社創設者のデイビッド・ハンソン(David Hanson)最高経営責任者(CEO)は、ステージ上の機知に富んだ会話について、部分的には台本が用意されていたが、我々は未来を少しだけ垣間見ることができたと語った。

 その一方で、将来起こり得る事態に不安を抱く声があることも認識しており、真に思いやりのあるロボットを作らなければ、ロボットが自ら意思を持つようになりかねないという臆測も理不尽ではないと同氏は話す。そして「本質的に安全で善良、さらには思いやりのある」AIをいかに開発していくか──これをオープンに議論することが重要なのだと指摘した。(c)AFP