【7月10日 AFP】イラク政府は9日、同国北部で数か月間にわたり進めていたイスラム過激派組織「イスラム国(IS)」からのモスル(Mosul)奪還作戦での勝利を宣言した。ISにとって過去最大の敗北となった。

 イラク首相府は声明で、ハイダル・アバディ(Haider al-Abadi)首相が「勇敢な戦闘部隊とイラク国民に大勝利の達成についての」祝意を示すため、「解放された」モスルに入ったと発表した。

 市内では今も銃撃や爆発の音が聞こえており、戦闘は完全には収束していないもようだが、アバディ首相の現地入りはモスル奪還作戦の正式な終了を示す節目となるとみられていた。

 勝利の代価は膨大だった。イラク第2の都市である同市は荒廃し、数千人が死傷、100万人近くの住民が自宅からの避難を余儀なくされた。また前途も多難で、モスルの再建のみならず、各地で勢力を維持するISとの戦いを進める必要がある。

 モスルで3年前に「カリフ制国家」の樹立を一方的に宣言したISは、イラクとシリアで一時広範な領土を制圧したが、現在までにその大半を失っている。米軍主導の有志国連合はモスルに続きシリアのIS拠点ラッカ(Raqa)の奪還を目指しており、現地では現在、米軍の支援を受けたアラブ人とクルド人の合同部隊がISに攻勢をかけている。(c)AFP/Emmanuel Duparcq with W.G. Dunlop in Baghdad