【7月7日 AFP】国連教育科学文化機関(UNESCO、ユネスコ)は6日、バロック様式の宮殿やモニュメント、建物などで知られるオーストリアの首都ウィーン(Vienna)の歴史地区を「世界危機遺産(World Heritage in Danger)」のリストに加えた。高層ビルの建設計画により価値が損なわれるおそれがあるとしている。

 高層ビル建設はまだ計画段階だが、敷地内をウィーン(Wien)川が流れる有名な19世紀の市立公園(Stadtpark)のすぐ南に位置する6500平方メートルの土地に建設されることになっている。

 この建設計画には巨大ホテル、高層高級住宅、フィットネス・スポーツ施設、新会議場、1000平方メートルの室内スケートリンクなどが含まれている。

 しかしユネスコの世界遺産委員会(WHC)は、66.3メートル――当初は75メートルだったが、抗議を受けて縮小された――という高層ビルの高さに異議を唱えている。

 WHCはポーランドで開催中の会議で「(この開発計画は)これまでのWHCの決定に完全に従っていない。とりわけ新しい建造物の高さは歴史地区の傑出した普遍的景観に悪影響を与える恐れがある」と述べた。ユネスコはウィーン歴史地区の建造物の高さ制限を43メートルと定めていた。

 オーストリアの連立与党は、歴史地区で戦後に建てられた建造物には、高さが計画されている高層ビルと同程度のものやより高いものもあると主張している。

 ウィーン歴史地区は2001年に世界文化遺産(World Heritage Cultural Site)として登録された。複数のウィーン市当局者は今回のWHCの決定に対し、あくまで世界遺産登録を維持する決意だと話している。(c)AFP