【7月5日 AFP】北朝鮮が発射実験を行った大陸間弾道ミサイル(ICBM)は米アラスカ(Alaska)に到達する能力があるとみられている。そうした中で改めて浮き彫りになったのは、中国の対北朝鮮介入努力への信頼を失ったドナルド・トランプ(Donald Trump)米大統領にとって、北朝鮮の核開発を阻止する選択肢が狭められてきていることだ。

 今年1月に大統領に就任する直前、トランプ氏は、北朝鮮には米本土が射程に入るような核兵器は絶対に開発させないと主張し、「そういうことは起きない!」とツイッター(Twitter)に投稿していた。 

 しかし米政府が北朝鮮のICBM発射実験が成功したことを確認すると、専門家の間から、北朝鮮のミサイル開発が核弾頭を搭載できるほどにまで進めば、越えてはならないとされていた一線が近付きつつあることを米国も認めざるを得なくなるだろうとの見方が出てきている。

 米カリフォルニア(California)州に拠点を置くミドルベリー国際大学院モントレー校(MIIS)の核不拡散問題の専門家ジェフリー・ルイス(Jeffrey Lewis)氏はAFPに対し、「北朝鮮の非核化に向けた交渉の窓は閉ざされた」と指摘した。「肝心なのは、北朝鮮が核弾頭を搭載できるICBMを手にしたということを私たちが受け入れなくてはならないということだ」

 4日に北朝鮮がICBMを発射した直後にトランプ大統領は、「場合によっては中国が北朝鮮に対して厳しい態度に出て、こうした愚行を終わらせてくれるだろう」とツイッターに投稿し、金正恩(キム・ジョンウン、Kim Jong-Un)朝鮮労働党委員長を非難する一方で、中国をもけん制した。

 トランプ氏はこれまで中国に対して核・ミサイル開発を続ける北朝鮮に圧力をかけるよう要請してきた。しかし、先月になって中国の取り組みは「これまでのところうまくいっていない」と漏らすなど、トランプ氏が金政権の動きを抑える中国の力を見限ったことを示す兆候がいくつか出ている。

 トランプ米政権が強硬姿勢を取るようになってきていることは、6月29日に北朝鮮とのつながりを持つ中国の金融機関に対する制裁措置を発表したことからもうかがえる。