オーストリア、対イタリア国境に兵士配備も 移民流入を警戒
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【7月4日 AFP】オーストリアのハンス・ペーター・ドスコツィル(Hans Peter Doskozil)国防相は3日付の地元紙で、地中海(Mediterranean Sea)を渡って流入する移民が減らない場合、「早急に」国境検問を導入し、イタリアとの国境地帯に兵士を配備する考えを明らかにした。
ドスコツィル国防相は地元紙クローネ(Krone)の電子版で「早急に国境管理を発動し、支援のために(軍の)動員を要請することになると思う」と述べ、この措置は「イタリアへの移民流入が緩和しない場合は必須だ」としている。
同紙の報道では、配備可能な兵士は750人で、週末にかけてすでに装甲車両4台がイタリアとの国境地帯に送り込まれている。
オーストリアは2015年、東側で接するハンガリーとの国境で検問を導入し、南西部で接するイタリアとの国境にもフェンスを設置するなど物理的な移民流入対策を実施してきた。
国連難民高等弁務官事務所(UNHCR)は3日、今年に入ってから海を渡ってイタリアに到着した移民・難民が8万5000人近くに上り、2000人以上が命懸けの渡航の間に死亡もしくは行方不明になったと発表した。
UNHCRのバンサン・コシェテル(Vincent Cochetel)欧州局長はスイス・ジュネーブ(Geneva)で記者団に対し「このままでは立ち行かなくなる。他の国々もイタリアに続き、責任を分担してもらう必要がある」と述べている。
今年10月に前倒し総選挙を控えているオーストリアでは、反移民を掲げる極右の躍進が予想され、第1党になるとの見方も出ており、中道左派のドスコツィル氏の発言はそうした状況も意識したものとみられる。(c)AFP