欧州議会でコール元独首相の葬儀 「戦後史の巨人」をしのぶ
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【7月2日 AFP】欧州連合(EU)は1日、フランス・ストラスブール(Strasbourg)の欧州議会で、先月16日に87歳で死去したドイツのヘルムート・コール(Helmut Kohl)元首相の葬儀を行った。欧州各国の首脳やビル・クリントン(Bill Clinton)元米大統領らが参列した。
このような形で元国家指導者の葬儀が欧州議会で行われたのは初めて。現職の欧州指導者の中で唯一コール首相と共に働いた経験を持つ欧州委員会のジャンクロード・ユンケル(Jean-Claude Juncker)委員長は、フランス語とドイツ語で述べた弔辞の中で「戦後の巨人が私たちのもとを去ってしまった」「ヘルムート・コールはドイツだけでなく欧州全体の愛国者だった」と語った。
同委員長はまた、「ヘルムート・コールはドイツ統一の主導者であるだけではない。彼は他の誰よりも欧州の歴史と欧州の地理の和解の実現に努めた人物だった」と語り、コール氏がいなければ「欧州は単一通貨ユーロを手にしていなかっただろう」と述べた。
コール氏は1982年から1998年までドイツの首相を務めた。在任中の1989年に東西ドイツを隔てていたベルリンの壁が崩壊。コール氏の指揮の下で再統一を果たしたドイツは世界で最も安定し、繁栄する民主主義国家になった。
またコール氏はフランスのフランソワ・ミッテラン(Francois Mitterrand)元大統領と共にEUの拡大と統合も促進。ソビエト連邦から独立して誕生した民主主義国家のEU加盟を支援し、欧州単一通貨ユーロ導入とEU域内の国境管理廃止に大きく貢献した。
コール氏のひつぎは船でライン(Rhine)川を下ってドイツ南西部シュパイアー(Spire)に運ばれ、埋葬される予定。(c)AFP/Christian SPILLMANN