【6月30日 AFP】米シンクタンクの戦略国際問題研究所(CSIS)は29日、最新の衛星画像の分析を基に、南シナ海(South China Sea)の南沙諸島(英語名:スプラトリー諸島、Spratly Islands)に中国が造成した3つの人工島で、移動式ミサイル発射装置を含む軍事機材の配備に向けた準備がまもなく完了するとの見方を示した。

 CSISが運営するウェブサイト「アジア海洋透明性イニシアチブ(AMTI)」の衛星写真分析によると、南沙諸島のファイアリークロス礁(Fiery Cross Reef、中国名:永暑礁)にある中国の基地では、ミサイル発射装置を格納できる開閉式屋根を備えた地下シェルターの数が今年2月時点の4から12に増えている。

 中国は永暑礁と、同じく南沙諸島にあるスービ礁(Subi Reef、渚碧礁)とミスチーフ礁(Mischief Reef、美済礁)の基地で、複数のレーダー塔を備えた通信・レーダー施設を拡張してきた。

 現在、新たな「非常に巨大な地下構造物」が各礁に4つずつ建設されており、AMTIは軍需物資やその他の必需品を収納できるよう設計されているとみている。

 AMTIはこれら3礁で「軍民両用の構造物の大掛かりな建設工事が間もなく終了し、AMTIが2年近く監視してきた海軍施設、空軍施設、レーダー施設、防衛施設の大半が完成する」と指摘。

「中国は戦闘機や移動式ミサイル発射装置を含む軍事機材をいつでもスプラトリー諸島に配備できる状態にある」としている。

 AMTIによると、3礁と西沙諸島(パラセル諸島、Paracel Islands)のウッディー島(Woody Island、永興島)の空軍基地を使うことで、中国軍機は南シナ海のほぼ全域で活動できるようになる。

 AMTIは昨年12月、南沙諸島に大口径の高射砲などの防空システムが配備されたと公表していた。(c)AFP