【6月30日 AFP】イラク軍は29日、イスラム過激派組織「イスラム国(IS)」の支配の象徴となっていた北部モスル(Mosul)のヌーリ・モスク(Al-Nuri Mosque)を奪還し、ISが一方的に樹立を宣言した「カリフ制国家」の終わりが近づいていると宣言した。

 イラクのハイダル・アバディ(Haider al-Abadi)首相は、同モスクの奪還はISの敗北が近いことを示すものだと指摘し、ツイッター(Twitter)の公式アカウントに英語で「われわれは偽りのダーイシュ(Daesh、ISのアラビア語名の略称)国家の終わりを目にしている」と書き込んだ。

 米主導の有志連合軍のライアン・ディロン(Ryan Dillon)報道官もISの終わりは近いとし、モスル奪還宣言を出す見通しについて、正確な予測はできないものの「1週間や数週間後ではなく数日後だと私は考えている」と述べた。

 イラクとシリアの国境をまたぐ広域を支配下に置いたISはちょうど3年前の2014年6月29日にヌーリ・モスクで「カリフ制国家」の樹立を宣言していた。

 その後のIS支配下では多数の人が斬首されて殺害されるなど数々の残虐行為が繰り返され、IS支持者はその映像や動画をインターネット上で共有していた。

 ヌーリ・モスクと同モスクに付随する、傾いたミナレット(塔)はモスルの史跡であり、ISのイラク支配の歴史で非常に重要な意味を持つ場所だ。

 ISが3年前に「カリフ制国家」樹立を宣言した数日後に公表した動画には、ISの最高指導者アブバクル・バグダディ(Abu Bakr al-Baghdadi)容疑者がヌーリ・モスクでの金曜礼拝の際、自身に従うようイスラム教徒に呼び掛けている様子が映されていた。イスラム教徒にとって金曜礼拝は特別重要な意味を持つ。バグダディ容疑者が「カリフ」として公の場に姿を現したのはこの時だけだ。

 ISは2014年に制圧した領域の大半を失った。バグダディ容疑者の生死や所在は依然として分かっていない。(c)AFP/Emmanuel Duparcq with W.G. Dunlop in Baghdad