【6月29日 AFP】欧州と北米を今週襲った新たな大規模サイバー攻撃について、欧州警察機関(ユーロポール、Europol)は28日、先月に猛威を振るった「WannaCry」という身代金要求型ウイルス(ランサムウエア)に似ているが「より高度化」した攻撃の恐れがあるとの見方を示した。

 オランダ・ハーグ(Hague)に本部を置くユーロポールは、今回のサイバー攻撃を「もう一つの重大なランサムウエア攻撃」と称し、「必要不可欠なインフラや業務システム」が「新たなランサムウエアの波」の標的にされていると指摘。使われたウイルスについて「ランサムウエア『Petya』の新型版」だとして、「この攻撃は全世界で感染被害が出ており、今も収束していない」と警告した。

 ユーロポールのロブ・ウェインライト(Rob Wainwright)長官は、被害件数の全容はまだ分かっていないと述べているが、ユーロポールでは既に対策本部を立ち上げ、攻撃の拡散を「能動的にモニタリング」しているという。

「WannaCryとの明らかな類似点があるが、さまざまな脆弱(ぜいじゃく)性を突くことを意図した、より高度な攻撃能力を有している兆候もある」とウェインライト長官は声明で述べている。

 これに先立ち、デンマーク海運大手A・P・モラー・マースク(A.P. Moeller-Maersk)は、同社のコンテナターミナル76か所のシステムがサイバー攻撃を受け一部ダウンし、手動での運用を余儀なくされていると発表した。「状況が流動的」だとして被害を受けたターミナルの特定は避けた。

 オランダ・ロッテルダム(Rotterdam)にある欧州最大級のコンテナターミナルも同日、サイバー攻撃を避けるため手動での運用に切り替えた。

 インドでも、国内最大のコンテナ港の運営に混乱が生じている。インド運輸省によると、ムンバイ(Mumbai)のJNPT(ジャワハルラール・ネルーポート)港で、A・P・モラー・マースクが運営するターミナルがサイバー攻撃の被害を受けたという。(c)AFP