【6月30日 CNS】中国で最もきれいな氷河のひとつとされ、海抜が世界一低い氷河としても有名な米堆氷河(Midui Glacier)が今、危機に見舞われている。

 ひょうたん形の氷河は総面積117.5平方キロ。上流海抜3800メートル以上が氷河及び永久凍土地域となっている。

 中国科学院(Chinese Academy of Sciences)成都(Chengdu)山地災害・環境研究所の陳暁清(Chen Xiaoqing)副所長によると、気候の変化が氷河に非常に大きな影響を与えており、チベット高原(Tibetan Plateau)の東端、南端、西端のほとんどの氷河が縮小しているという。

「2010年の頃には、我々が立っている場所も氷河でした。観測当初から1キロ以上は縮小してしまった」。陳副所長は足元の砂利を踏みしめながら語る。

 1988年7月には米堆氷湖が決壊し、多くの人の生命と財産を奪った。午後11時30分ごろに発生した決壊は、たった10分のうちに米堆村をのみ込み、94キロも離れたポメ県まで達した。「当時、下流の318国道の約30キロを破壊し、修復まで1年を費やした」

 地球温暖化の影響もあり、氷河は解け続けている。2016年の衛星データによると、米堆氷湖の面積は250平方メートルで1988年の決壊以前と同じ大きさになっている。つまり、また決壊する恐れがあるということだ。

 科学者らは模型実験などで被害の予測などを研究しており、監視測定や応急措置などの研究を続けるという。(c)CNS/JCM/AFPBB News