仏料理の鬼才A・サンドランス氏死去 ヌーベル・キュイジーヌ創始
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【6月27日 AFP】1960~70年代にフランス料理の新潮流「ヌーベル・キュイジーヌ(Nouvelle Cuisine)」を生み出したフランスを代表するシェフ、アラン・サンドランス(Alain Senderens)氏が死去したことが分かった。77歳。料理評論家のジル・ピュドロウスキ(Gilles Pudlowski)氏が26日、AFPに明らかにした。
サンドランス氏はポール・ボキューズ(Paul Bocuse)氏やミシェル・ゲラール(Michel Guerard)氏らと共に、「新しい料理」を意味するヌーベル・キュイジーヌをけん引。パリ(Paris)のレストラン「ルカ・カルトン(Lucas Carton)」などのシェフを務めた。
ピュドロウスキ氏は「パリで最後の偉大な創造者の一人だった。先見の明があった」としのんだ。
ヌーベル・キュイジーヌは、濃厚なソースを使う伝統的なフランス料理に比べて軽く繊細で、盛りつけの美しさにもこだわるのが特徴。
サンドランス氏は28年にわたってミシュラン(Michelin)の三つ星を保持するなど、数十年にわたってフランス指折りのシェフに数えられた。
しかし2005年になって、より簡素で堅苦しくない料理を追求するとして星を返上。フランス料理界に衝撃を与えた。
当時AFPが行ったインタビューでは「違うレストランを開いて、虚飾を排した優れた料理を提供したいと思い立ったんだ」と打ち明けている。価格も100ユーロ(現在のレートで約1万3000円)ほどと手頃なものにしたいと話していた。
サンドランス氏はまた、意表を突いた料理で食通をうならせるのも好んだ。バニラで味付けしたロブスターといった甘味と酸味の組み合わせを試したり、ローマ時代にさかのぼる「アピシウス(Apicius)のローストダック」など昔のレシピをよみがえらせたりして驚かせた。
チーズに合わせて出すのは白ワインだと宣言して反響を呼んだこともある。(c)AFP