コール元独首相の葬儀、夫人の計画を前妻息子が批判 「父にふさわしくない」
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【6月25日 AFP】今月16日に87歳で死去したドイツのヘルムート・コール(Helmut Kohl)元首相の長男ワルター・コール(Walter Kohl)氏(53)は23日、継母にあたるマイケ・コール・リヒター(Maike Kohl-Richter)夫人が計画している元首相の葬儀について、東西ドイツ統一の父とされる人物に「ふさわしいものではない」と批判した。
故コール元首相は最初の結婚で2人の息子、ワルター氏とぺーター(Peter Kohl)氏をもうけ、78歳のときに34歳年下のマイケ夫人と再婚しているが、元首相の後妻と先妻の息子との間で確執再燃の様相となっている。
ワルター氏は独週刊紙ディー・ツァイト(Die Zeit)のインタビューで、マイケ夫人がコール氏の国葬を拒んだことを批判。さらに、コール氏の遺体を家族の墓がある南西部ルートウィヒスハーフェン(Ludwigshafen)ではなく南郊シュパイアー(Spire)の墓地に埋葬するとした夫人の決定にも不満を漏らしている。
第2次世界大戦(World War II)後のドイツ指導者では歴代最長となる任期(1982~98年)を務め、欧州統合を推進したコール氏の葬儀は、7月1日に欧州議会(European Parliament)があるフランス北東部ストラスブール(Strasbourg)で欧州連合(EU)葬が執り行われる。EU葬には、アンゲラ・メルケル(Angela Merkel)独首相、エマニュエル・マクロン(Emmanuel Macron)仏大統領、ビル・クリントン(Bill Clinton)元米大統領らが弔辞を述べる予定だ。
その後、コール氏の遺体はシュパイアーの墓地に運ばれることになっているが、ワルター氏は埋葬には立ち会うつもりはないという。
ワルター氏自身は、EU葬を終えたコール氏のひつぎを首都ベルリン(Berlin)に搬送し、1989年当時、西ドイツ首相としてコール氏がベルリンの壁(Berlin Wall)崩壊を見届けたブランデンブルク門(Brandenburg Gate)近くでキリスト教のミサと軍による葬送を行い、国を挙げてコール氏に弔意を示すことを望んでいたという。
政治家コール氏の名声を頑なに守ろうとしていると国内メディアに評されるマイケ夫人とワルター氏との不仲は長期に及び、ワルター氏は長年コール氏と音信不通の状態にあった。このため父親の訃報はラジオで知ったという。(c)AFP