【6月23日 AFP】北朝鮮から帰国した後に死亡した米国人学生、オットー・ワームビア(Otto Warmbier)氏の葬儀が22日、オハイオ(Ohio)州シンシナティ(Cincinnati)郊外の町、ワイオミング(Wyoming)で行われ、大勢が参列した。同氏はシンシナティに埋葬された。同氏は北朝鮮に1年余り拘束された後、原因不明の昏睡(こんすい)状態のまま帰国させられていた。

 会場となったワームビア氏の出身高校の講堂は800人を収容できるが、参列者で満席になった。さらに、参列者は追加で設けられた部屋にも収まりきらなかった。

 ワイオミングとシンシナティの路上にも弔問者の列ができ、葬儀が行われている間は、米国旗を振る人や励ましのメッセージを掲げる人の姿が見られた。また、街路樹や街灯には青と白のリボンが結ばれ、弔意が示された。

 米バージニア大学(University of Virginia)の学生であるワームビア氏は観光旅行で北朝鮮を訪れた際に北朝鮮のホテルから政治ポスターを盗んだとして逮捕され、昨年3月に15年の労働教化刑を言い渡された。同氏は1年半近く拘束され、その間に脳に深刻な損傷を負った。同氏は先週、昏睡状態で米国に医療搬送されたが、19日にシンシナティの病院で亡くなった。

 ドナルド・トランプ(Donald Trump)米大統領は、ワームビア氏が拘束された末に死亡したことは「最悪の侮辱」だと非難している。

 オハイオ州選出のロブ・ポートマン(Rob Portman)上院議員はメディア非公開で行われた葬儀を前に、記者らに対し、「今回の一件を通して、悪、そして愛と善の両方を垣間見ることができる」と発言した。

 同議員は「きょう、われわれは善と愛を目にしている。オットー氏と彼の家族に寄り添おうというあふれんばかりの気持ちを通じて、今後も善と愛が表現されていくだろう」と語った。(c)AFP/Paul Vernon