欧州人権裁、ロシア政府に賠償命じる 同性愛の宣伝禁止法を批判
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【6月21日 AFP】欧州人権裁判所(European Court of Human Rights、ECHR)は20日、同性愛のプロパガンダ(宣伝)を禁じているロシアの法律はホモフォビア(同性愛嫌悪)や偏見を助長する差別的なものだとして激しく批判した。
同法は未成年者に対する「非伝統的な性的関係の奨励」に罰金を科している。また、同性愛関係と異性愛関係が同等だと述べることも犯罪と定めている。
同性愛者の人権擁護活動家3人が、ロシア国内の学校と子どもの図書館、当局の庁舎の前で同性愛は異常なことではないと書かれた横断幕を掲げて罰金刑を受けた。3人は上訴して憲法裁まで争ったが敗訴し、2009年と12年に欧州人権裁に訴えていた。
欧州人権裁は、3人が受けた罰金刑は欧州人権条約(European Convention on Human Rights)の表現の自由と差別に関する規定に違反していると判断し、ロシア政府に損害賠償の支払いを命じた。金額は3人のそれぞれについて8000ユーロ、1万5000ユーロ、2万ユーロ(約100万円、約190万円、約250万円)。欧州人権裁は、ロシアの反同性愛法は同性愛に対する「偏見を増幅させ、同性愛嫌悪を助長」しており「民主的社会の価値観とは両立しえない」とも指摘した。
判決を受けてロシアのセルゲイ・ラブロフ(Sergei Lavrov)外相はモスクワ(Moscow)で記者団に対し、3人は同性愛者であることを理由に罰金刑を受けたのではないと指摘し、「われわれは、何者かがわが国の未成年者にこの(性的)指向を押し付けるのを望んでいないだけだ」と述べた。欧州人権裁は、ロシア政府は未成年者が他人の影響を受けて同性愛者になると主張したが、その「科学的な根拠」を示すことができなかったと指摘していた。
ロシア政府は上訴する方針。法務省は、ロシアの立場を法廷で説明する準備を進めていると発表した。
ロシアでは1993年に同性愛が合法化されたが偏見は根強く、人権活動家らは同性愛者に対する虐待が多くみられると主張している。(c)AFP/Arnaud Bouvier with Anna Malpas in Moscow