B・コスビーの性的暴行疑惑、審理無効に 裁判所が決定
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【6月18日 AFP】米コメディアンのビル・コスビー(Bill Cosby)被告(79)が2004年に女性に薬を飲ませて性的暴行をはたらいたとされる事件で、ペンシルベニア州郊外ノリスタウン(Norristown)の連邦判事は17日、審理無効の決定を下した。陪審員の間で意見が割れ評議がこう着状態に陥ったため。検察側は裁判のやり直しを求める構えだ。
コスビー被告は、13年前に同州フィラデルフィア(Philadelphia)の自宅で元大学職員アンドレア・コンスタンド(Andrea Constand)さんに性的暴行を加えたとして訴追されていた。有罪となれば生涯を刑務所で過ごす可能性もあったが、裁判は審理無効という驚くべき展開をもって一時的ではあれコスビー被告側の勝利となった。
法的な視覚障害者だと主張し、保釈金100万ドル(約1億1100万円)を支払って保釈中の身だったコスビー被告は審理無効の決定を受け、頭を下げたまま弁護団に付き添われて無言で裁判所を後にした。
だが検察は必ずコスビー被告を有罪に持ち込むと明言していることから、コスビー被告は数か月以内にも再び出廷することとなりそうだ。
■全米の人気者から性的暴行事件の被告へ
1984~92年放映の人気テレビシリーズ「コスビー・ショー(The Cosby Show)」で医者である父親役を演じたコスビー被告は理想の父親として全米に愛され、一時は米テレビ界の大物として君臨していた。しかし、その輝かしいキャリアは裁判によって壊滅的なダメージを受け、現在のコスビー被告の姿は弱々しくわびしさを感じさせる。
コスビー被告の性的暴行疑惑をめぐっては、これまでに全米で約60人の女性が被告に薬物を盛られて性的暴行を受けたと公に主張。性的暴行疑惑の期間は40年間におよぶ。しかし、実際に立件されたのはコンスタンドさんの事件だけだ。その他はほとんどが訴追するにはあまりにも長期間が経過しすぎているという。
コンスタンドさんの事件も、一度は民事裁判で解決しているが、新たな証拠が明らかになったとの検察側の主張で2015年に刑事事件として裁判が再開していた。(c)AFP/Thomas URBAIN