欧州人権裁判所、遺伝子疾患の赤ちゃんの治療継続命じる判決
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【6月14日 AFP】欧州人権裁判所(European Court of Human Rights、ECHR)は13日、まれな遺伝子疾患を発症している赤ちゃんに「適切な」治療を継続するよう英政府に命じる判決を下した。英高等法院はこの赤ちゃんについて、治療のために米国に連れて行きたいと両親が希望しているにもかかわらず、医師らが「尊厳死」させることができるとの判決を下していた。
フランス北東部ストラスブール(Strasbourg)に置かれているECHRは、英医師らは、まれな遺伝子疾患を発症し、脳に損傷を負っている生後10か月の男児チャーリー・ガード(Charlie Gard)ちゃんに対し「生命を維持しながら、可能な限り彼の苦痛を最小限にし、最大限の尊厳を一貫して保つのにふさわしい治療と看護」を継続して行わなければならないと述べた。
英高等法院は4月、チャーリーちゃんに行われている延命治療を終わらせるべきだという判決を下し、チャーリーちゃんを治療のために米国に連れて行くことを希望する両親の緊急の訴えを退けていた。
ECHRによると、チャーリーちゃんの両親は、ECHRに当該案件を審議させるために英高等法院の判決を差し止る緊急の暫定措置を求め申し立てを行っていた。
ECHRは声明で「当事者の利益と適切な訴訟行為」のために、ECHRは英政府に対し暫定措置の適用を、当初の要求にあった今月9日までの治療継続を延長する形で、6月19日まで延ばすよう命じた。
ECHRの暫定措置は緊急の例外的措置であり、差し迫った回復不能の損害の危険がある場合にのみ認められる。
両親は、チャーリーちゃんを米国へ連れて行き、チャーリーちゃんが発症している型のミトコンドリア病の治験を受けさせることを希望していた。このミトコンドリア病は進行性の筋力低下を引き起こすという。(c)AFP