【6月14日 AFP】米国とメキシコの科学者らが13日、絶滅が心配されている魚の生息数を計測するための新たな手法を公開した。この手法では、繁殖期の魚たちのラブコールを盗み聞きして、その個体数を推定する。

 研究者らは水中マイクと数理モデルを使い、カリフォルニア湾(Gulf of California)のニベ科の魚「コルビナ」の生息数を割り出した。この方法は、その他にも、ニシン、イワシ、タラ、ハドック、ニベ、ハタ、スズキ、フエダイ、ナマズ、チョウザメなどでも適応可能だという。

 コルビナの成魚は毎年春、繁殖行為のためにコロラド川デルタ(Colorado River Delta)の浅い河口に集まってくる。その数約200万匹とも言われているが、通常この水域には、その1%足らずが生息しているのみだ。

 コルビナの繁殖行動では、雌を引き付けるために雄がラブコールを発する。テキサス大学マリーン・サイエンス・インスティテュート(UTMSI)の研究者らによると、そのコールはすさまじく、「人の耳をつんざくほど」の大音量なのだという。

 コルビナにとって不幸なのは、このラブコールによって自らの位置が漁師たちに分かってしまうことだ。約3週間の繁殖期の間に、漁師たちは100万匹以上のコルビナを捕獲する。

 だが今後は、このラブコールをコルビナを救うために利用できるようになるかもしれない。コルビナは国際自然保護連合(IUCN)による世界の野生動植物の絶滅危機の度合いを示す「レッドリスト(Red List)」で「危急種(Vulnerable)」に指定されているためだ。

 この新たな手法では、数理モデルを使い、魚が出す音のレベルから魚群の密度を決定する。研究チームは今回、最大で150万匹以上、2000トンを超える集合体があったとしている。(c)AFP/Mariëtte Le Roux