ISが拉致の6歳女児、3年ぶりに家族と再会 母親を認識できず イラク
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【6月11日 AFP】イラク北部クルド人自治区アルビル(Arbil)のアシュティ(Ashti)国内避難民キャンプで10日、3年前にイスラム過激派組織「イスラム国(IS)」に拉致された6歳の女児が家族の元に戻り、集まった人たちが再会を祝福した。
クリスティーナ・エゾ・オバダ(Christina Ezzo Obada)ちゃん(6)の一家が身を寄せるプレハブは喜びに包まれた。アルビルとモスル(Mosul)の間の町カラコシュ(Qaraqosh)に住んでいた一家は2014年半ば、ISの襲撃を受けて避難を余儀なくされた。
2014年8月、一家が他の国内避難民らと共にバスに乗っていたところ、襲撃してきたISがクリスティーナちゃんを連れ去った。それから5か月以上たったとき、母親のアイダさんは知人から娘がモスル西部の12人家族の家で暮らしていると聞いた。
アイダさんは娘について断続的に情報を得ていたが、直接話すことは一度もできなかったと、AFPに語った。
クリスティーナちゃんが一緒に暮らしていた家族は最近モスルを逃れた。8日夜、クリスティーナちゃんの一番上の兄に、クリスティーナちゃんを迎えに来てほしいという電話があった。
アイダさんによれば、その家族はクリスティーナちゃんを「養子」として迎えていたという。2年以上前にモスクの近くでクリスティーナちゃんが一人泣いているのを見つけたらしい。
10日はアイダさん一家が暮らすキャンプ地の質素な住居に友人、親戚、近所の人たちが詰め掛けた。だがアイダさんにとって娘との再会は気楽なことではなかった。クリスティーナちゃんはアイダさんが自分の母親だと分からなかったのだ。
「この子は何も覚えていませんでした。一緒に暮らしていた家族との生活に慣れていたんです」と語るアイダさんのそばで、木製の小さな十字架をペンダントのように首から掛けたクリスティーナちゃんは家に来た人たちを見回していた。
「私たちはこの子が記憶を取り戻し、私が本当の母親だと思い出せるようにします」と、アイダさんは話した。クリスティーナちゃんは何も話さなかったが笑顔を見せ、家に来た人たちや援助団体から贈られたプレゼントを開けていた。
「娘をダーイシュ(Daesh、ISのアラビア語名の略称)から救ってくれた神に感謝しています」と、目が見えない父親は語った。「私はこの子のために毎日祈ります」 (c)AFP/Layal Abou Rahal