【6月10日 AFP】アフリカ・サハラ砂漠(Sahara Desert)南縁部サヘル(Sahel)地域のイスラム過激派対策として関係国による特別部隊を承認するよう求めてフランスが6日に国連安全保障理事会(UN Security Council)に提出した決議案に米国が難色を示している問題で、フランスは9日も事態打開に向けた動きを続けた。

 ブルキナファソ、チャド、マリ、モーリタニア、ニジェールのサヘルG5(Sahel G5)諸国は今年3月、サヘル地域での対テロ作戦のため5000人規模の特別部隊の編成で合意。フランスは6日、サヘルG5の兵士らが「テロリズム、麻薬密輸、人身売買と闘うために必要なあらゆる手段を使用」することを認める安保理決議案を提出した。

 これに対し米政府は安保理の決議ではなく報道声明でも十分な支援を行うことができると主張。ある米当局者は、決議案は特別部隊の権限を厳密に規定していないと指摘し、幅広い活動に対して武力行使を認めると「危険な前例になる危険」があると述べた。

 欧州連合(EU)はすでにサヘルG5の部隊に5000万ユーロ(約62億円)を拠出することに同意している一方、外交筋は米国と英国は同部隊のために国連が資金を出すことに後ろ向きだとしている。匿名を条件に取材に応じた国連安保理の外交官は「要はカネの問題だ」と話した。

 フランスはアフリカ連合(AU)から要請を受け、サヘルG5の部隊に安保理の承認を取り付けようとしている。決議案は来週採決される可能性がある。

 フランスは2013年、国際テロ組織アルカイダ(Al-Qaeda)系を含む複数のイスラム過激派組織が北部の主要都市を掌握したマリに軍事介入した。過激派の大半はマリ北部から追放されたが民間人や国連部隊に対する攻撃は続いており、暴力はマリ中部の一部にも及んでいる。(c)AFP