【6月10日 AFP】米国史上最大規模の機密文書漏えいを引き起こし、軍刑務所で7年間収監された元陸軍情報分析官でトランスジェンダー(性別越境者)のチェルシー・マニング(Chelsea Manning)氏が、釈放後初めてインタビューに応じ、「正義は果たされた」と語った。

 米テレビ局ABCが9日に放送したインタビューでマニング氏は、内部告発サイト「ウィキリークス(WikiLeaks)」に大量の機密文書を漏えいした責任を認め、「私は責任が自分にあったと認めた。誰かに言われてやったわけではない。誰かに指図されたわけでもない。これは私が、自分でやったこと」と語った。

 当時、ブラッドリー(Bradley Manning)という名前で22歳だったマニング氏は、イラクやアフガニスタンの戦場からもたらされる情報や民間人死者に関する報告によって大きな影響を受けたと語っている。2010年に70万件以上の機密文書を漏えいしたのは、国民的議論を引き起こすことが動機であり、米国の国家安全保障が脅かされることになるとは思わなかったという。

 2013年8月に禁錮35年の有罪判決を受けた直後、マニング氏は自身がトランスジェンダーであることを公表。2014年9月に同氏の弁護士が陸軍に対して訴訟を起こし、その後ようやく性別違和に対するホルモン治療を受けることが認められた。

 マニング氏は、ホルモン治療のおかげで「自分が間違った体に入っていると感じなくて済む」と説明。「以前は、自分の体を引き裂いてしまいたくなるような、恐ろしい気持ちになったものだった。そんな経験はもう二度とさせられたくない。本当にひどい、嫌な気分になること」と続けた。

 服役中、2度にわたり自殺を図っていたマニング氏に対しては今年1月、在任期限が数日後に迫っていたバラク・オバマ(Barack Obama)大統領が、恩赦による減刑を発表していた。

 マニング氏は「正義が果たされて、今はとても気が楽」と言明。機会があればオバマ氏に「チャンスを与えてくれたこと」に対して感謝の意を伝えたいとも語った。(c)AFP