【6月9日 AFPBB News】八角堂の内部をぐるりと囲むガラス製の釈迦(しゃか)像を青や紫の照明が照らし出す。色はゆっくりと変化し、夕焼け空や錦秋の山麓を眺めているかのようだーー。東京都新宿区の「幸國寺(Koukokuji)」の納骨堂「琉璃殿(Ruriden)」では、LED(発光ダイオード)照明を駆使した幻想的な演出で、故人をしのぶ場を提供している。

 琉璃殿には、高さ8.5センチの仏像2046基が、位牌(いはい)として祭られ、入り口のタッチパネルで名前を入力すると堂内の照明がともる。照明のプログラムは、四季をイメージしたものなど全4種類あり、行事ごとに変更される。仏像の背後に広がる収蔵庫は、大小2種類あり、約4000人分の遺骨を納められる。

 琉璃殿は、価値観が多様化する中で、「従来の墓に変わる新しいかたちを」と10年前に建立された。2015年に、米国の葬儀会社団体が選ぶ 「世界で最も素晴らしい墓地12選(12 Most Amazing Cemeteries in The World)」に選ばれ、「ハイテク墓地」と紹介されたことで、外国からの見学者も増えた。

 1630年開山の古刹(こさつ)である幸國寺は、何世代も続く檀家(だんか)が多く、第二次大戦中の焼け跡を残す樹齢500年の大銀杏が墓地を見守る。「目新しい面に注目されがちだが、やっていることは昔から変わらない」と僧侶の矢嶋泰佑(Taiyu Yajima)さん(36)。「故人とご遺族に真剣に向き合い、しっかり供養をささげていく。それがお骨を預かる責任」と語った。(c)AFPBB News