【6月8日 AFP】メキシコの首都メキシコ市(Mexico City)中心部で、古代アステカの風神を祭っていたとみられる巨大寺院と球技場の遺跡が発見され、発掘に当たった考古学者らが7日、報道陣に公開した。

 広範囲にわたる発掘活動によって発見されたこの珍しい遺跡は、風の神エエカトル・ケツァルコアトル(Ehecatl-Quetzalcoatl)を祭っていたとみられる半円形の寺院と、その付近の競技場。

 アステカで儀式として行われていた球技をめぐっては、同地を征服したスペインのエルナン・コルテス(Hernan Cortes)が1528年に初めて球技場で観戦したことを示す記録もある。歴史学者によると、競技者が腰を使って球を扱っていたことや、人をいけにえとしてささげていたことなども考えられるという。

 考古学者らは発掘現場で32人分の首の骨を発見しており、儀式の一環として首を切断された人たちの遺骨の可能性があると指摘している。

 建造物のうち残っているのは、階段と観客席の一部のみ。考古学者らは、本来のグラウンドは長さ50メートルほどだったと推測している。

 一方、寺院は巨大な半円形がさらに大きな長方形の土台の上に載ったような形をしている。建物全体の大きさは幅約34メートル、高さ約4メートルだったとみられるという。寺院は1486~1502年に建設されたと考古学者らは考えている。

 これらの古代遺跡は、かつてアステカの首都テノチティトラン(Tenochtitlan)があった歴史的都市の中心で発見された最も新しいもので、この場所には以前ホテルがあったが、1985年の地震で崩壊した。(c)AFP