仏パリの大気汚染で「死にかけた」、女性が国に賠償請求
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【6月8日 AFP】フランスで6日、首都パリ(Paris)の大気汚染を政府が放置したため「死にかけた」として、ぜんそく患者の女性が国を相手取って損害賠償を求める訴訟を起こした。
ヨガ教師のクロティルド・ノネ(Clotilde Nonnez)さん(56)はAFPに対し、2016年12月にパリの大気汚染レベルが急激に悪化した際、呼吸困難を起こして「死にかけた」と語った。これが引き金となって「心臓に深刻な障害」を発症し、今も治っていないという。
代理人を務めるフランソワ・ラフォルグ(Francois Lafforgue)弁護士によると、ノネさんは、大気汚染に対する国の「過失に値する無能さ」のせいで健康被害を受けたとして、14万ユーロ(約1700万円)の損害賠償を求めている。
ノネさんは大気汚染のピーク時には入院を余儀なくされ、現在も治療が続いているという。「ノネさんの人生は健康問題によってずたずたにされている」とラフォルグ弁護士は述べ、大気汚染によってがんの発症リスクも高まっていると付け加えた。
フランスでは、大気汚染が原因で年間およそ4万8000人が早死にしているとされる。ノネさんは、国が大気汚染を引き起こしている企業などへの強い対応を怠り、施行された環境対策が適切に導入されているか監督していなかったと批判している。
ラフォルグ弁護士によると、ノネさんの他にもパリや北部リール(Lille)、南東部リヨン(Lyon)などで30人ほどが同様の訴訟を準備しているという。(c)AFP