【6月6日 AFP】両親の争いを伴う離婚や別居を経験すると、その副次的な影響が子どもの健康に数十年にわたって害を及ぼし続ける恐れがあるとの研究結果が5日、発表された。

 今回の研究に参加した健康な成人の被験者201人には、本人の同意の上で隔離した環境で風邪ウイルスに暴露させ、経過を5日間観察した。

 実験の結果、両親が離婚して何年も互いに口も聞かないような状況を経験した被験者グループでは、両親が別れても子どもの成長に伴って連絡を取り合っていた被験者グループに比べて、風邪を罹患(りかん)する確率が3倍高かった。

 過去の研究でも、子どもの頃に両親の離婚を経験した成人には、病弱になりやすいリスクがあることが示されている。

 論文によると、この病気リスクの上昇は、ウイルス感染に対する炎症反応の増大に少なくとも部分的に起因することを、今回の最新研究は明らかにしたという。

 米カーネギーメロン大学(Carnegie Mellon University)博士課程修了研究員(心理学)のマイケル・マーフィー(Michael Murphy)氏は「若年期のストレスの多い経験は、不健康と慢性病のリスクを高める生理過程と炎症過程に影響を及ぼす」ことを説明。今回の研究が「子ども時代の家族ストレスが、20~40年後にその子どもの病気のかかりやすさにどのように影響するかを理解するための第一歩」となると述べた。

 また、離婚後も両親と連絡を取り合っていた被験者グループが風邪を引く確率については、両親がいる家庭で成人した被験者グループと同程度であることが、今回の研究では分かった。

 論文共同執筆者のシェルドン・コーエン(Sheldon Cohen)教授(心理学)は「幼少期の家庭争議の長期的な悪影響をもたらす重要な要因の一つが免疫系であることを、今回の研究結果は示している」と指摘する。

 そして、「すべての離婚が同等であるわけではなく、離婚がその後の子どもの健康状態に及ぼす有害作用が、両親間で連絡を取り合い続けることで緩和されることを、研究結果は示唆している」ことを説明した。

 論文は、査読学術誌の米科学アカデミー紀要(PNAS)に掲載された。(c)AFP