【6月6日 AFP】湾岸(Gulf)諸国が外交危機に直面している状況を受け、同地域の専門家が5日、2022年のサッカーW杯カタール大会(2022 World Cup)に異議を唱える声が活発化する可能性を指摘した。

 サウジアラビア、アラブ首長国連邦(UAE)、バーレーン、エジプト、そしてイエメンは、カタール政府が「この地域の不安定化を狙っている」過激派組織を支援しているとして、同国との国交を断絶すると発表した。

 周辺地域の一部ではこれを受け、カタールが5年後に迫ったサッカー界最大のイベントであるW杯を開催することへの影響が考えられるとしている。

 米テキサス(Texas)州ヒューストン(Houston)にあるライス大学ベーカー研究所(Rice University's Baker Institute)の湾岸諸国専門家は、「カタールに対する重圧が大きく高まっている。このまま続くようなことがあれば、必ず影響が出るだろう」と述べた。

 2010年に国際サッカー連盟(FIFA)の総会でW杯開催国に選出されて物議を醸して以降、カタールは不安的な地域の国でありながら政情安定国の立場を維持してきた。同国政府はこれまで、石油資源が豊かな小さな同国だけでなく、湾岸地域全体で大会に奉仕していくと強調していた。

 カタール大会の組織委員会で重要人物とされるナセル・アル・ハタル(Nasser Al Khater)氏も、2022年には首都ドーハ(Doha)に130万人のファンが訪れ、その大多数は湾岸と「主にサウジアラビアから」訪れるとの予想を示したばかりだった。

 しかし、現在の情勢ではこうした意見も危ぶまれる可能性があると指摘する専門家は、AFPの取材に対して、「(W杯を開催するための)宣伝文句の一つは、カタールが中東で最も安定した国の一つであるということだった」と語った。