【6月5日 AFP】イタリア北部トリノ(Turin)の警察は4日、爆発音がしたことから大混乱となり、サッカー欧州チャンピオンズリーグ(UEFA Champions League 2016-17)決勝を観戦していたユベントス(Juventus)のファンがけがをした事故で、負傷者が約1500人に上り、そのうち3人が重体に陥っていると発表した。

 地元当局の発表によると、英カーディフ(Cardiff)の試合を巨大スクリーンで観戦するサポーターで埋め尽くされていた広場での3日の衝撃的な事件では、1527人が主に軽傷で治療を受け、そのうち避難する際に転倒して押しつぶされた中国系の少年を含む3人が重体となっているとされている。

 胸部の負傷で昏睡状態となっているこの少年の姉妹は病院の外で報道陣に対し、「大勢の人の下敷きになった」と当時の様子を語った。

 現場を目撃したAFPの記者によると、爆竹音が引き金となったとみられるパニックが発生した後、1人または複数の人が爆発だと叫び、その情報があっという間に群衆に伝わっていったという。試合は4-1でレアル・マドリード(Real Madrid)が勝利を収め、トリノを拠点とするユベントスのファンにとっては悲劇が重なった形となった。

 今回の事件によって、欧州各国が連続するテロ行為で神経質になっていることが改めて浮き彫りになったことに加え、仏パリ(Paris)のバタクラン(Bataclan)劇場やマンチェスター(Manchester)のコンサート会場が攻撃されたことを受け、大勢が集まるイベントの主催者もジレンマを抱える状況に陥っており、地元警察も「街は不安とパニックに襲われ、治安維持が非常に難しい」と話した。

 サンカルロ広場(Piazza San Carlo)で試合を観戦していた数千人のファンが、恐怖に襲われた瞬間に出口付近へ殺到したことで、あっという間に人がいなくなった広場には、逃げる際に脱げた数百足の靴が散乱していた。

 広場には4日朝になっても靴をはじめ、服やバックのほかに血痕が残されている。また、けが人の多くは、試合中に無許可の販売業者から入手したビール瓶で切り傷を負ったものとみられる。

 事件に遭遇したファンの一人は、AFPTVに対し、「騒ぎが聞こえた後、人波が動いて互いにぶつかりながら転倒し始めた。自分も覆いかぶさってきた人たちの血を浴びた。みんな叫んだり、互いを跳び越えたりしていた。本当に恐ろしい光景で、マンチェスター事件の再来かと思った」と語った。(c)AFP/Marc-Henri Maisonhaute