マラドーナの「神の手」を見落とした線審が死去
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【6月2日 AFP】1986年のサッカーW杯メキシコ大会(1986 World Cup)で副審を務め、イングランド代表戦でアルゼンチン代表のディエゴ・マラドーナ(Diego Maradona)の「神の手」による得点でハンドの反則を見落としたボグダン・ドチェフ(Bogdan Dotchev)氏が死去した。80歳だった。1日、ブルガリアサッカー協会(FBU)が発表した。
ドチェフ氏は、マラドーナがイングランドとの準々決勝で相手守護神のピーター・シルトン(Peter Shilton)と競り合いながらボールをパンチし、先制点を挙げた試合でタッチラインを駆けていた。マラドーナは試合後、この日の先制点について「神の手」と表現した。
その後マラドーナが追加点を挙げて勝利したアルゼンチンは、決勝では西ドイツ(当時)を破り、優勝を飾った。
激しい批判の中、ドチェフ氏はマラドーナが手を使ったところは見ていないと意見を変えなかった。
昨年、ドチェフ氏はその試合から30年の節目を迎えて地元メディアのインタビューに応じ、「『神の手』については話したくない。何を言われようとも私は常に自分に正直であり続けた」と語った。
「彼は私の人生を台無しにした。私は悪くもないのに責任を問われた」と続けたドチェフ氏は、マラドーナに会いたいと思ったことはないと付け加えた。
1977年から国際舞台で審判を務めていたドチェフ氏は、このミスを犯したことで86年にそのキャリアを終えた。(c)AFP