【6月1日 AFP】欧州連合(EU)と中国はベルギーのブリュッセル(Brussels)で2日に行う首脳会議で、米国が地球温暖化対策の国際枠組み「パリ協定(Paris Agreement)」を脱退することになった場合に、その空白を埋めるため全力を尽くして協定を支える決意を表明する見通しだ。複数のEU高官が明らかにした。首脳会議は、米国に代わってEUが中国と協力して気候変動対策を進める役回りを引き受ける考えを打ち出すことで、世界政治の劇的な変化をもたらす可能性がある。

 米メディアはトランプ大統領がパリ協定からの離脱を決めたと報じている。大統領は数日内に協定に関する決断を発表する予定だ。

 AFPが5月31日に閲覧した9ページの共同声明案によると、EUと中国は2015年に採択された歴史的なパリ協定の全面実施に向けて「最も高い政治的コミットメント」を果たしていくと強調。両者の協力が新たな段階に入ることを示唆している。

 EU高官は同日、共同声明について「中国とEUがパリ協定を履行していくことを強調するものになる」と匿名を条件に記者団に明らかにした。「パリ協定はたとえ米国が脱退しても、引き続き全力で実施されていく」とも語った。

 中国の李克強(Li Keqiang)首相はブリュッセルに1日夜に到着し、その後欧州理事会(European Council)のドナルド・トゥスク(Donald Tusk)常任議長(EU大統領)、欧州委員会(European Commission)のジャンクロード・ユンケル(Jean-Claude Juncker)委員長と気候変動を最優先議題として会談する予定。(c)AFP/Lachlan CARMICHAEL and Alex PIGMAN