【5月31日 AFP】国連(UN)は30日、中央アフリカでレイプ、殺人、拷問、拉致、少年兵の動員を含む、凶悪犯罪が横行していたとする報告書を発表した。これらの犯罪は、戦争犯罪やジェノサイド(大量虐殺)にあたる可能性がある。

 国連の報告書は、軍や武装集団、国際組織による「恐ろしい」犯罪が2003~2015年の12年以上にわたって続いたと指摘している。

 集団レイプ、性奴隷、村落への放火、大量虐殺の可能性がある事件について記録したこの報告書は、こうした犯罪を裁くことを目的に首都バンギ(Bangui)に新設される裁判所のためにまとめられた。

 これとは別の国連の報告書でも、中央アフリカでは暴力行為の急増により今月初めから数百人が殺害され、約8万8000人が自宅からの避難を余儀なくされており、国内避難民が50万人を超えていると指摘されている。

 国連は、「宗教、民族、あるいは武装集団への支持に基づいた市民に対する重大な暴力」が確認されたと述べ、そのうちの一部は大量虐殺にあたる恐れがあるとして、裁判所はさらなる調査を検討すべきだと主張している。

 同国で国連中央アフリカ多元統合安定化派遣団(MINUSCA)を率いるパルフェ・オナンガ・アニャンガ(Parfait Onanga-Anyang)氏は、「処罰されない状態が横行する限り、各武装集団が恐ろしい暴力行為を犯すというひどい状況は続くだろう」と語った。

 中央アフリカでは2013年3月、イスラム教徒を主とする武装勢力連合「セレカ(Seleka)」によって、キリスト教徒のフランソワ・ボジゼ(Francois Bozize)大統領が失脚させられて以降、宗教間の対立が激化している。(c)AFP