ボコ・ハラムによる孤児問題、新たな暴力の温床にも
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【5月31日 AFP】ナイジェリア北東部ボルノ(Borno)州の州都マイドゥグリ(Maiduguri)にある既に廃園となった遊園地を訪れる幼い少年たちのグループ──路上で夜を明かした彼らが目指すのは、もう動くことのない園内の乗り物だ。
靴も履かず、ぼろぼろの服を着た少年たちが向かったのはメリーゴーラウンド。塗装は剥げ落ち、鮮やかだった色はすっかり日焼けしてしまっている。
もちろん木馬が動くことはない。しかし少年たちは、まるでディズニーランド(Disneyland)を訪れたかのように笑っている。日常の苦しみを忘れることのできる時間なのだろう。
ボルノ州では、イスラム過激派組織「ボコ・ハラム(Boko Haram)」によって大勢の子どもたちが親や保護者を失った。彼らは、そのほんの一握りの少年たちだ。
遊園地の近くで働く人は、「彼らは保護下にない。だからここに来て遊んでいる。本来なら学校にいるべきだが、彼らに学校へのアクセスはない。見ていて本当につらい」と語った。
■「教育機会を与えなければ、すべてを奪うモンスターに」
当局は、親を失った大勢の子どもたちが保護されない限り、マイドゥグリはイスラム過激派の温床であり続けると危機感を募らせる。
しかし、当局は現在、厳しい貧困にあえぐ地域で家を失った大勢の子どもたちをどのようにして学校に戻すかという難問に直面している。これまで、こうした貧困地帯で教育は重要視されてこなかったが、教育こそが新たなイスラム過激派の台頭を防ぐ鍵となる。
カシム・シェッティマ(Kashim Shettima)州知事は「ボルノ州には親を失くした子どもが、公式発表で5万2000人以上いる」「しかしその一方で、こうした子どもたちが10万人以上いるとする非公式のデータもあり、またその半数がマイドゥグリにいる可能性もある。彼らに教育機会を与えなければ、われわれのすべてを奪うモンスターになる。非常に大きな課題だ」と語った。