【5月23日 AFP】人は魅力的な容姿の科学者の研究に対してより強い関心を示すが、その能力についてはより平均的な容姿の科学者よりも劣っているとみる傾向があることを示唆する研究論文が22日、発表された。

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 米科学アカデミー紀要(Proceedings of the National Academy of SciencesPNAS)に掲載された論文は、専門家による講義の動画をインターネットで配信するTED talksなど、インターネットを通じた関わりが増す現代において、とりわけ科学の分野では、人が他人を見た目で判断しやすいという実態が浮き彫りになったとしている。

 英ケンブリッジ大学(University of Cambridge)のウィル・スカイラーク(Will Skylark)氏(心理学)が主執筆者を務めた論文によると、同大学と英エセックス大学(University of Essex)の研究チームは、研究に対する人々の認識に科学者の容姿がどのような影響を与えるかを調べるために6件の調査を行った。

 調査は、米国および英国在住の18歳から81歳までの約3700人を対象に行われ、大半はインターネットを通じて採用された。

 調査では、対象者を3グループに分け、そのうちの1グループに科学者らの顔写真を見せ、魅力の度合いに応じて評価をしてもらった。写真は、英米の大学で物理学や遺伝学、生物学を専攻する科学者らのもので無作為に選択した。

 他の2グループに対しては、各科学者の研究についてどのくらい詳しく知りたいと思うかを尋ね、またそれぞれの科学者が「正確で重要な研究を行う人物にみえるか」と質問した。

 研究チームがこれら3グループから収集したデータを比較したところ、人は魅力的と感じる科学者の研究についてより詳しく知りたいと感じる傾向があることが分かった。

 また、年配の科学者に対してはわずかだが高い関心を示し、一方で女性科学者に対しての関心がそれほど高くないことも明らかになった。他方で人種的には、科学者が黒人であっても白人であっても相違は見られなかったと研究チームは説明している。

 さらに、高度な研究を行っているように見える科学者を選んでもらうと、より平凡な容姿の科学者を選択する人が最も多かった。

 この結果について論文は、「その成果が容姿によって左右される一般的な社会の営みと同様に、科学においても気候変動やバイオテクノロジーといった重要な科学的問題に対する人々の考え方や政府の対応に、科学者の容姿が影響を与える可能性がある」と結論づけている。(c)AFP