仏政権、大統領外遊の同行記者を選ぶ 報道機関との関係緊張
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【5月20日 AFP】フランスのエマニュエル・マクロン(Emmanuel Macron)大統領の西アフリカ訪問に当たり、政権が同行取材させる記者を選んだため報道機関との関係に早くも緊張が生じている。
AFP、仏テレビ局のBFMやTF1、仏紙ルモンド(Le Monde)やフィガロ(Le Figaro)など25の報道機関は18日、「外遊であれ何であれ、私たちの中の誰が取材する権利を持っているかを決めるのは政府ではない」などとする公開書簡に署名し、マクロン政権の広報戦略に「懸念」を表明した。
シルバン・フォール(Sylvain Fort)大統領報道官は、「1人ないし2人」の記者に直接連絡し、人数が限られている19日のマクロン大統領マリ訪問の同行取材団に入らないかと申し出ていたことを明らかにした。
他の政権高官らは、同行する記者を選んだのは、いつも大統領を取材している政治記者の一団を連れて行くのではなく、「特別な」ジャーナリストを同行させるという戦略のためだとした。
マクロン氏は大統領の威厳を回復するためメディアと距離を置く姿勢を示している。ゴシップが多かったフランソワ・オランド(Francois Hollande)前大統領のせいで、大統領職のイメージが損なわれたと思っているためだ。
オランド前大統領は定期的にオフレコ取材に応じていた。その結果、任期の終わり頃には、2人の政治記者にオフレコの会話を基にした暴露本「Un président ne devrait pas dire ça...(大統領はそんなこと言うべきではなかった)」を出版されてしまった。
大統領選中はテレビをつければマクロン氏の顔が見えたものだが、今や同氏は大統領として長期的な課題を優先すべく、メディアへの露出を極力控えようとしている。
政府報道官のクリストフ・カスタネール(Christophe Castaner)氏が18日の記者会見で語ったところによれば、閣僚らもメディアへのリークをしないよう厳命されているという。(c)AFP/Hervé ASQUIN