【5月20日 AFP】米国のドナルド・トランプ(Donald Trump)大統領は、シリアのイスラム過激派組織「イスラム国(IS)」を「根絶やし」にするよう国防総省に指示した。同組織に参加している外国人戦闘員の帰国を防ぐことが狙いとされる。ジェームズ・マティス(James Mattis)国防長官が19日、明らかにした。

 作戦は、戦闘員を街から脱出させ、逃亡しているところを狙うのではなく、一定の場所でできるだけ多くの戦闘員を一挙に包囲し全滅させるというもの。作戦内容から浮き彫りになるのは、戦闘経験を積んだイスラム過激派が軍事的な専門知識やイデオロギーを欧州諸国の首都を含め世界各地に持ち帰るのを阻止するという課題がますます緊急性を帯びてきていることだ。

 マティス長官によると、トランプ大統領はISを根絶やしにするため、戦闘員を安全な場所から追い出す消耗戦から、ISの拠点で包囲する戦術への変更を指示。「目的は、逃亡した外国人戦闘員が帰国するのを防ぐこと」だという。

 選挙戦でISの早期打倒を公約に掲げてきたトランプ大統領は就任後間もなく、米軍司令官らにIS一掃作戦を30日間で見直すよう大統領令で命じていた。その結果、考案された「根絶やし作戦」では、現場司令官の戦場での裁量権も大幅に拡大している。

 バラク・オバマ(Barack Obama)前政権は、ホワイトハウス(White House)が細かく管理し、承認手続きに時間がかかって現場の対応に遅れが出るとして、たびたび批判されていた。(c)AFP/Thomas WATKINS