【5月20日 AFP】動画配信大手の米ネットフリックス(Netflix)が制作した映画作品をカンヌ国際映画祭(Cannes Film Festival)で上映すべきかをめぐる激しい論争は、映画産業の未来を問う世代間の衝突の様相を呈している。

 ネットフリックスの『オクジャ(Okja)』が19日に上映された際、ブーイングと歓声の両方で迎えられたことは、映画界で瞬く間に富を築いた同社に対する評論家や映画制作者らの意見にどれほど隔たりがあるかを示している。

 伝統を重んじる人々が映画を大きなスクリーンで見て得られる「没入体験」を求める一方、若者世代は動画配信サービスを熱烈に支持している。

 今年のカンヌ映画祭で審査委員長を務めるペドロ・アルモドバル(Pedro Almodovar)監督は映画祭の開幕に当たり、ネットフリックスの作品が賞を勝ち取ることは「想像できない」と発言。19日はこれを撤回し、公正な審査を行うことを約束したが、カンヌに出品した2作のフランス国内での映画館上映をネットフリックスが拒否したことに対しては、いら立ちを隠さなかった。

 一方、ネットフリックス側は「守旧派が結束して、私たちに対抗しようとしている」と反発。同社の支持者らも、国内の劇場で上映される映画について公開後3年間にわたり会員制ウェブサイトでのストリーミング配信を禁じているフランスの規制を非難している。

 ハリウッド(Hollywood)のスターたちも、すぐさまネットフリックス擁護に動いた。ペドロ・アドモバル監督と共に審査員を務める米俳優のウィル・スミス(Will Smith)は「ペドロの言い分にテーブルをたたいて反対する。面白い審査員スキャンダルが起きるのを楽しみにしている」と述べた。

 スミスはさらに、ネットフリックスは若者が自主制作映画に触れる機会をつくっていると主張。「わが家について言えば、ネットフリックスには恩恵しかない。子どもたちが他では見ることのなかった映画を見られるからだ」と説明している。(c)AFP/Fiachra GIBBONS