希少な「逆巻き」カタツムリ、三角関係に敗れる
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【5月19日 AFP】殻の形状が通常のものとは異なることから交尾相手が見つからないカタツムリの「失恋」について18日、英国のメディアが取り上げた。パートナー候補として連れてこられた2匹同士でつがいとなってしまい、このカタツムリは三角関係に敗れてしまったというのだ。
ジェレミー(Jeremy)と名づけられたこのカタツムリは、殻のらせんの巻き方が中心から反時計回りの方向になっている。これは一般の個体とは逆で、大半のカタツムリは殻のらせんが時計回りの方向にある。そのためジェレミーは、時計回り殻を持つ個体とは交尾することができない。
ジェレミーを飼育する英ノッティンガム大学(University of Nottingham)のアンガス・デービソン(Angus Davison)教授は昨年、この寂しい雌雄同体動物の交尾相手の候補を世界中から探す活動を始めた。
反時計回りの殻を持つカタツムリの遺伝的特徴を研究しているデービソン教授は「このカタツムリは非常に珍しい。存在確率は文字通り100万匹に1匹だ」と話す。
英BBCは昨年11月、ジェレミーについにお相手が見つかったと報じた。デービソン教授の呼びかけを聞いた英東部サフォーク(Suffolk)州のカタツムリ愛好家が、同じ形状の殻を持つカタツムリの「レフティ」をジェレミーに紹介したのだ。さらに別の反時計回りの殻を持つカタツムリのトメウもスペインのマヨルカ(Majorca)島から連れてこられた。
一緒にするとお互いに興味を示し、ことは順調に進むと思われた。しかし、ジェレミーとの関係は長続きしなかった。その代わりに、トメウとレフティがお互いにパートナーとなることを決めてしまった。
デービソン教授は、BBCラジオに「自分が気になっている女の子に自らの親友を紹介する(と、2人がカップルになる)ようなものだ」とコメントした。
そしてこのほど、約170匹の赤ちゃんが生まれた。しかし、親のトメウとレフティとは違い、殻の巻き方は一般的な個体に見られる時計回りだという。
ジェレミーは今も、「新しい仲間ら」とともにノッティンガム大の研究室で飼育されている。デービソン教授は、今は赤ちゃんカタツムリたちの世話を手伝ってもらっているが、さらなるパートナー探しはあきらめてはいないと話した。(c)AFP