ベネズエラ、第2のシリアになる恐れ 米国連大使が警鐘
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【5月18日 AFP】反政府デモが激化している南米ベネズエラの情勢について、米国のニッキー・ヘイリー(Nikki Haley)国連(UN)大使は17日、シリアや南スーダンで起きているような内戦に発展する恐れがあると警鐘を鳴らした。ニコラス・マドゥロ(Nicolas Maduro)大統領の退陣を求めるデモでは治安部隊との衝突でこれまでに少なくとも43人が死亡。マドゥロ政権は同日、暴動が広がっている西部タチラ(Tachira)州に特殊部隊などの派遣を命じたと発表した。
国連の安全保障理事会(Security Council)はこの日、米国の要請でベネズエラに関する非公式会合を開催した。ヘイリー大使は会合後の記者会見で、ベネズエラの情勢は悪化していると指摘。シリアや北朝鮮、南スーダン、ブルンジ、ミャンマーがたどったような道を避けるため、「問題を事前に止める」必要があると訴えた。
ベネズエラについて「人道危機の瀬戸際にある」と先に警告していたヘイリー大使は、国際社会はマドゥロ大統領に対して「国民の人権を尊重しなければ、長年にわたりわれわれが見てきたような状況に向かうことになる」とメッセージを送る必要があると力説した。
一方、ベネズエラのラファエル・ラミレス(Rafael Ramirez)国連大使は内政干渉だとして米国を非難した。
ベネズエラでは、ブラディミル・パドリノ・ロペス(Vladimir Padrino Lopez)国防相が国営VTVテレビで、略奪や治安施設に対する襲撃が起きているタチラ州に「警備部隊2000人、特殊部隊600人の派遣を命じた」と明らかにした。
コロンビア国境に近い同州では、検察によるとデモの最中に15歳の少年が死亡。一連の抗議活動での死者は全国で43人に増え、2014年に国内各地で発生したデモに関連する死者数に並んだ。
隣国ブラジルのラウル・ジュングマン(Raul Jungmann)国防相は17日、ベネズエラから大量の移民が押し寄せる事態に備えた緊急対応計画を策定すると記者団に明らかにした。(c)AFP/Maria Isabel SANCHEZ