【5月16日 AFP】人間の営みから最も遠い南太平洋の離島に、1日当たり3500片以上という大量のプラスチックごみが漂着し、これまでに報告されてきたプラスチックごみの密度の中で最高レベルの汚染状態にあることが分かった。

 ニュージーランドとチリの間の南太平洋に浮かぶ無人島のヘンダーソン島(Henderson Island)は、英領ピトケアン諸島(Pitcairn Islands)に属する広さ3700ヘクタールの石灰岩の環礁。主要な陸塊までは最も近い場合でも約5000キロ離れており、生物多様性の豊かさで知られている。

 だが、査読学術誌の米科学アカデミー紀要(PNAS)に発表された報告によると、この島に推計3770万片のプラスチックごみが散乱しているという。

 英国王立鳥類保護協会(Royal Society for the Preservation of Birds)と合同で報告をまとめた豪タスマニア大学(University of Tasmania)海洋・南極研究所(IMAS)の研究員で、論文の主執筆者であるジェニファー・ラバーズ(Jennifer Lavers)氏は「ヘンダーソン島で起こっていることは、最も遠い海域でさえもプラスチックごみ汚染から逃れないということを示している」と語った。

 報告は「南太平洋環流(South Pacific Gyre)の中心部に近いことから、南米から漂着するごみや漁船が捨てるごみが集まるポイントとなっている」と指摘。また、「われわれの推定によると、最低でも3570片のごみが毎日、北部の海岸に漂着しており、たまっていく割合は、報告されたことがある他のどの場所よりもざっと5桁も大きい」と述べている。

 プラスチックごみは魚やカメ、海鳥などを傷つける。また専門家によると、数百種類の生物がプラスチックごみを摂取してしまうリスクにさらされているという。(c)AFP/Kerry SHERIDAN