カンヌ映画祭、スキャンダルで見る70年の歩み
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【5月15日 AFP】世界で最も重要な映画祭とされる「カンヌ国際映画祭(Cannes Film Festival)」は、今年で70回目を迎える。17日に南仏コートダジュール(French Riviera、フレンチリビエラ)のリゾート地、カンヌで開幕するこの映画祭に衝撃を与えた過去のスキャンダルについて振り返る。
■「甘い生活」
フェデリコ・フェリーニ(Federico Fellini)監督の『甘い生活(La Dolce Vita)』は、1960年の同映画祭で最高賞パルムドール(Palme d'Or)を受賞し、現在は古典的名作の一つとされている。しかし発表当時はカトリック教会がキリストの再来を冒とくした真のデカダンス(退廃)だと非難し、そのタイトルを風刺して「破廉恥な生活」と呼んだ。多くの国では上映が禁止されたり中止されたりした。
翌年パルムドールを受賞したシュールレアリストのルイス・ブニュエル(Luis Bunuel)監督による『ビリディアナ(Viridiana)』も見習い修道女の性の目覚めを描写し、教会の怒りを買った。
■「革命」の1968年
1968年5月、フランス全土に学生運動やストライキの嵐が吹き荒れる中、クロード・ルルーシュ(Claude Lelouch)、ジャン・リュック・ゴダール(Jean-Luc Godard)、フランソワ・トリュフォー(Francois Truffaut)、ロマン・ポランスキー(Roman Polanski)の4監督もストライキを決行し、カンヌ国際映画祭を会期途中での閉幕に追い込んだ。
最後にはカルロス・サウラ(Carlos Saura)監督が自らの作品『ペパーミント・フラッペ(Peppermint Frappe)』の試写会でスクリーンのカーテンにつかまり上映を阻止。同年は賞の授与が一切なかった。
■カメラマンらがスターを無視
1983年、映画『殺意の夏(One Deadly Summer)』に主演した仏女優イザベル・アジャーニ(Isabelle Adjani)が、映画宣伝で恒例となっている記者会見への出席を拒否。激怒したカメラマンらは一致団結して復讐(ふくしゅう)することに決めた。プレミア上映の夜、アジャーニがレッドカーペットに登場すると、カメラマンらは一斉にカメラを下ろし、背中を向けた。